神社界では 『祝祭日に国旗を掲げましょう』 という運動を展開して家庭用の国旗セットの頒布を行ってきました。 しかし世間では祝日=休日という感覚が先行して、 その日には日の出とともに軒先に国旗を掲揚してまず祝意を表するという習わしがなかなか定着しないようです。 そのなかで、 宮司の努力と氏子の理解によって国旗掲揚運動がめざましい成果を挙げている最近の実例を紹介します。
東海道の旧宿場町の関宿を氏子地域に持つ亀山市関町の関神社では、 以前から社報等で国旗掲揚の呼びかけを行ってきましたが、 氏子の反応はごくわずかでした。 そこで平成18年に新しく宮司に就任した木﨑喜冨氏は、 国旗普及のためには自ら積極的に行動すべきだと考え、 氏子地域のなかから普及重点地区を選ぶこととしました。
まず神社のすぐ南を走り旧東海道宿場町の姿をそのまま残している関宿まちなみ保存地区の家々の軒先に観光客へのアピールを兼ねて国旗を掲げていただく計画を立て、 平成20年春の連休前に県神社庁から国旗セットをまとめて入手し、 一軒ごとにセットの購入と祝日の国旗掲揚を依頼しました。 商店の多い地区の人々は好意的に応じてくれ、 隣家が揚げるなら自分のところもという具合に次々と購入者が増え、 宮司も戸別訪問の際にドライバーなどの工具を携帯し、 要望があればその場で旗竿を差し込む金具を取り付けるなどの配慮をしました。 その結果、 観光客がひしめく祝日には宿場町の面影をそのまま残す木造の家々に、 文字通り 「軒を連ねて」 日の丸がはためくという風景が実現することになりました。 また街道周辺の氏子からも、 「国旗を揚げたい」 との声が次第に聞こえるようになり、 さらに宮司が兼務する近くの神社の総代会長からセットをまとめて購入したいとの要望もあって、 活動開始後一年半で約100旒(りゅう)の国旗の普及を見ることができました。
木﨑宮司は、 「以前から神宮大麻や氏神神符の戸別頒布に自ら従事したり、 早朝の日供祭奉仕や境内の整備清掃に努めている宮司の姿に共鳴してくださって、 神社周辺の氏子の皆さまが国旗掲揚のお願いに即座に協力してくれたという側面もあり、 やはり神社側と氏子との常日ごろからの深い信頼関係がこのような活動を推進する原点となっているようです。 しかし氏子の全戸に国旗を配布するにはまだまだ時間を要すると思います。 これからは住宅地のなかの四つ辻の角などの目立つお宅に重点的に掲揚を依頼して、 そこから全戸普及に広げて行けたら良いのではと考えています」 と話しておられます。